家庭医療とは
プライマリ・ケアの定義
家庭医療学研究所が目指してきた家庭医療

家庭医療学研究所が目指してきたのは、世界家庭医療学会ヨーロッパ支部の定義(THE WONNCA TREE)に示されている、“家庭医療を行うために必要なコアとなる知識と技能”、および、“家庭医療を実践する上で不可欠な要素”を踏まえて家庭医療を実践することです。そして、世界の国々の家庭医療を参考にして、わが国の社会的ニーズにマッチする具体的な家庭医療のあり方を研究することです。
参考にした国々は、筆者が短期留学ないしは視察した米国(ハーバート大学、ワシントン大学、ミシガン大学、ミシガン州立大学、カルフォルニア大学サンフランシスコ校、イリノイ大学シカゴ校、ミネソタ大学、ジョージア州マーサー大学の 8 大学 15 家庭医療センター)、英国(ダンディー大学、ニューキャッスル・アポンタイン大学)、オランダ(ラドバウド大学)、韓国(ソウル大学)などです。そして、筆者が体験した川崎医科大学総合診療部の関連施設である奈義ファミリークリニック、および、三重大学家庭医療学教室の関連施設である県立一志病院などです。
家庭医療学研究所がこれまでに構築してきた家庭医療と地域包括ケアシステム、および家庭医療専門医育成法は以下のとおりです。

家庭医療学研究所が目指してきた家庭医療、および家庭医療専門医育成法
医 療
  • 1) 患者本位(patient-oriented)の医療を提供する
    • 患者中心(patient-centered)の医療を実践する
    • 臨床推論を駆使して最小限の費用で最大の効果を発揮できる医療を提供する
    • 患者の擁護者として行動する
  • 2) 家族ぐるみのかかりつけ医として、全科的・包括的な医療を提供し、多疾患罹患、多剤服用にも対処する
予 防
地域指向
  • 5) 地域包括ケアシステムの中で中核となる役割を果たす
    • 認知症の患者さんと家族に対して、診断し治療薬を投与するのみでなく、多職種と協働して調整型統合ケア(coordination-type integrated care)を提供する
    • 患者および家族の人生に寄り添う在宅医療・在宅ホスピス(緩和医療、エンドオブライフケアを含む)を 24 時間・365 日提供し、在宅での看取りを行う
    • 社会的処方を行って医療と介護の緊密な連携を図り、調整型統合ケアを実践する
チーム医療
プロフェッショナリズム
  • 7) 臨床能力、コミュニケーション技能、倫理的・法律的理解の土台の上に、医師の職業人としての卓越性, 人間性, 説明責任, 利他主義をもって行動する
家庭医療学研究所が目指してきた家庭医療専門医育成法