わが国の 1990 年代の医療は、図 2-1 に示すように 15 歳から 65 歳までの人たちの病気を診断・治療し、「治すこと、救うこと」が中心でした。しかし、その後高齢者が増加し、団塊世代が 75 歳になる 2025 年には高齢化率は 30.0%にも達します。そして、2040 年頃には高齢化率が 36.3%に達すると推計されています(2020 年高齢社会白書 内閣府)。人口過疎地では高齢化率が 50%を超える地域も多数存在することになります。
2040 年から 2050 年頃の人口ピラミッドは逆ピラミッドに近づき、2060 年には 65 歳以上の高齢者が 38.1%に達し、人生 100 年時代に向かおうとしています。2020 年でもその傾向が着実に進行していますので、医療の役割も大きく変わらなければなりません。「治すこと、救うこと」も大切ですが、高齢者は多種類の慢性疾患を抱えて生活していますので、医 療者は「癒すこと、支えること」も心がけなけ ればなりません。そして、最期は患者さんの望むところで「看取る」ことも大切な役割になってきました。