わが国は世界トップレベルの超少子高齢・人口減少社会を突き進んでいます。この時代のニーズに応えるためには、まず、医療体制の再構築が必要であり、そして、地域包括ケアシステムの確立が不可欠です。
医療体制については、病床数が人口 1,000 人あたり 13.0 床と OECD37 カ国の中でも群を抜いて多く、また、急性期病床の平均在院日数が 16.2 日と米国の 6.2 日やその他の OECD 諸国と比べても断トツに長い日数になっています。高齢者は 14 日間寝たきりに近い状態で入院生活を送ると、下肢の筋肉量が約 20%低下するために、退院時にはフレイルないし要介護の状態になる人が続出することになります。この状況を改善するには、各県ごとの地域医療構想を早急に確立して実行に移すことが喫緊の課題であるといえます。
地域包括ケアシステムは、現時点でかなり整ってきましたが、その中核的役割を果たすべきプライマリ・ケア医(理想的には家庭医療専門医)が多数育成されると、調整された統合ケア(Coordination-type Integrated Care : 調整型統合ケア)を提供できるようになり、高齢者の介護・福祉は格段に進歩するものと考えられます。